投稿者:NORI2POP 様




私の通っていた私立高校には、千葉の某所に「海の家」があり、

夏の臨海学校やクラブの合宿に利用されていました。そこで先輩が経験した話です。



安く海に行きたい先輩達はクラブ合宿と称して、学校に予約を申し出ましたが、

臨海学校開催の関係で、実際使用が許可されたのはお盆を過ぎた頃の4日間。

「まあいいか」と予約を入れ、部員10名程と顧問の教員と共にその海の家を訪れました。

海の家は、かなり古い木造のボロ屋でしたが、中庭を挟んで2本の長い廊下が走る、

ちょっと前の旅館のような造りをしていました。庭といっても、真ん中に松の木が2〜3本、

その下に低木がちょぼちょぼと植わっているだけのおよそ質素なものでした。

顧問の教員は千葉出身。しかも実家が海の家に近いということで、

最初の1日目までは一緒に泊まったものの、2日目には実家の電話番号を書いたメモを、

上級生に渡し「何かあったら電話しろ」と実家に帰ってしまいました。

先輩達は卒業生達にこの情報を聞いていたのかも知れません。

また教員も「少し羽を伸ばせ」と思ってくれたのかも知れません。

とにかく監督者が居なくなり、当然、高校生達はビールだタバコだと買出しに走りました。

海の家には管理人の夫婦がいましたが、それも夜には家に帰ってしまいます。



2日目の夜、必然的に宴会が始まりました。ろくに飲んだこともない酒を飲み、

大騒ぎしていると、後輩の1人がトイレから戻ってこなくなりました。

「吐いてるのか」

と誰もが思っていた時、中庭にその後輩がフラフラと裸足で現れました。

「お!生きてるか?」とひやかしながら声をかけたものの、うつむいたまま松の木の下で

フラフラしているだけで、こちらを見ようとはしません。

「おい!返事しろよ!」と先輩達が大声を出した時、

うつむいていたその生徒がキッ!と顔をこちらに向けました。

その顔は全くの別人、しかもかなり年配の男性だったそうです。

突如目の前に現れた大人に、誰もが飲酒と喫煙が発見されたと思い、

息を飲んで下を向いていると、突如・・・・・



「これだ!」

と松の木の下の男が声を上げ、高校生達を、睨み、木の根元を指差しました。



そこには、なにか動く影が・・・



しかし小さい・・・信じられないことに影の正体は 小さな人間でした。

身長は30センチくらい、人形のように細い手足、妙な帽子をかぶって歩いていました。

生徒の一人が「日本兵だ!日本兵だよ!あれ」と言い出しました。

そう、歩いていたのは小銃を持ち、足にゲートルを巻いた日本兵だったのです。

月明かりの下でしたが、人形とは明らかに違うその小さな人間は、

次第に数を増やし10名程になったといいます。

停学や退学を覚悟して緊張していた高校生達は、自分達の緊張が見当違いだった事に

気付き、妙にハイになっていたのかも知れません。

何故か誰もうろたえることは無く、日本兵達の姿をじっくりと見ていたそうです。

どの位の時間が経ったのか・・・

立っていた松の木の男が庭から廊下に駆け上がってきました。



駆け上がってきた男は、紛れも無くトイレに行っていた後輩でした。

「どどど、なに、なに・・ああ・・」

と青くなっている後輩に

「おまえどうしたんだ!?」

と問いただすと・・・・・



トイレに入った時から全く体の自由がきかなくなり、中庭で立っていたと言うのです。

「じゃ、さっきの、あれお前か?」

初めて全員が異常な事態に気付きました。

中庭には、もう日本兵の姿はありませんでした。



なにがなんだか分からず、大急ぎで宴会の証拠を処分し全員が一部屋に集まって

布団を被ったそうです。

「酔っていたのか?」

「同じ幻覚を見るか?全員が?」と青くなっていると、

廊下、その先の中庭からカリカリと物音が・・・

皆が顔を上げると、そこには中庭から廊下に何かが這い上がろうとしている気配が。

どうやったのか次の瞬間には廊下に例の日本兵の姿が!

じーっと部屋の中を睨んで立っているではありませんか。

「うわあ!」と廊下に近い数人が飛びのくと、さっきの中庭の後輩が急に立ち上がり、

次の瞬間に白目を剥いて倒れました。

「こいつ死ぬぞ!」

けいれんする後輩の顔を1人が叩き、救急車を呼びました。

救急車が来るまでの間、1人また1人と具合が悪くなり、

救急隊員が部屋に入った時には全員が、もうろうとしていたそうです。



やがて顧問の教員も病院に駆けつけましたが、どう説明していいか分からず、

飲酒と喫煙の件だけを正直に話しました。

食中毒か過度の飲酒による中毒症状か・・・・・

病院側でも判断がつかなかったそうですが一応全員が回復。

それでも軽い者で1日、症状の重い者は3日間、高熱と衰弱の為に地元の病院に

入院したといいます。

教員も事態を重く見て、自分が一緒に宿泊しなかった事を学校側に話し、

飲酒の事実も露呈した為、生徒・教員共に処分を受けたといいます。





その後、海の家のクラブでの使用は禁じられ、数年後には海の家自体も売却されました。

あの日本兵達は幻覚だったのか?

しかし10名が一度に幻覚を見る事はあるのか?



今、その場所には立派な保養所が建っているそうです。


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