投稿者:翠碧 様


ゴーン、チーン・・・

深夜遅くまで絶える事の無い明り・・・今日は祖父の初盆。

遠くの親戚らが手土産抱えてやって来た。


「暑いのにご苦労やね〜Aさんも疲れとろうに」

祖父の姉が祖母に話しかける。

こう言う機会がない限り会う事もない。

彼女は小さな手提げから白の御祝儀を出すと祭壇横の盆に置いた。

姉の癖になんて薄いのだ。

「何言ってるんですかお姉さん、私は大丈夫ですよ・・・」

明らかに我慢をしている祖母、当り前だ猛暑の中、効かないエアコンを掛け、

昼間なのに電灯を付けている。それでは暑いのは当り前である。

そんな会話が何度も繰り返される。



母暑い中、着慣れない服を着て茶汲みをしている。

僕はその茶を運び、普段しない笑顔を振りまいていた。三人ともヘトヘトだ。



そして時間は過ぎ、深夜三時近く・・・

「ほなウチらもう帰るき〜バイバイ」

そう言って玄関の引き戸を開けた。

昼間と違って涼しく、蝉の音が鈴虫の声に変わっていた。



「真っ暗やね〜早よ帰って寝よや」

「気を付けりね〜」

夜遅い所為か何時もなら玄関先でダラダラと長話をする二人だが、

今日だけは一言で終わった。

僕と母は車を止めてある所まで歩いた。

疲れ切っている為か交わす言葉もない。

ふと、僕は祖母の家を見やった



・・・



僕は思わず息を呑んだ

「何やろか・・・アレ?」

家の屋根を指差した。

黒い何かが祖母の家の屋根に見えた。

「?何も見えんばい」

母には見えていない、するとあれは…

もっと良く見てみた。



・・・



人だ!


それも一人じゃない、二、三・・・それ以上。

その黒い人達が屋根に鎮座しているのだ。

更に辺りを見回すと数件の屋根にも・・・

「確かあの家でも初盆だったような・・・」

そう、黒い人達は初盆の家の屋根に集っていたのだ。

僕は小さく手を合わせた。


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