投稿者:knob 様 |
今から、20年ほど前の事です。 私が暮らす福岡に福岡ドームが出来る前の事です。 埋立地に建つ福岡ドームのへ向かう途中の街は細かい路地が入り組んだ住宅地でした。 当時、18歳だった私は時折、兄が勤めるゼネコンT工務店の家族寮に姪の世話をしに通っ ていました。 そんなある日・・・・・ 義理の姉が用事を済ませて戻ってきたので、家族寮を後にし自宅へと戻っていました。 最初の角を大通りの方角へ曲がったときです。 20メートル程、向こうからくすんだ水色の着物をはだけさせた女の人が苦しそうな形相で、 よろめきながら「うぅ〜」と低いうめき声をあげながら歩いて来ていました。 私は、全身が身の毛立つほどゾッとしましたが、私の5メートル程前を歩いている、 サラリーマンらしき男性は気にもとめていない様子でした。 女の人は、よろめき・・・うめき・・・私を睨み付けながら私に近づいてきます。 しかし、私の前を行く男性は相変わらず普通に歩き続け、何ら反応もせずにその女の人と すれ違いました。 私は、ただ事ではないと恐ろしくなりました。 何故なら、それまでに幾度となく見てきた霊らしき物と違い、 あまりにもはっきりと見えるのです。 とうとう私と女の人は2メートル程の距離になりました。 そして、女の人は「ぐわぁ〜」と叫びながら手を突き出して私に向かってきたのです。 私は目をつぶり夢中で駆け出しました。 そして、先を歩いていた男性に追いつくと震えながら・・・・・ 「い・今の、今の女の人・・・」 と問いかけましたが、その男性は怪訝そうな顔で私を見つめ 「何が?」と答えました。 私は、おそるおそる振り返りましたが、そこには主婦らしき女性がこちらに向かって歩いて 来ているだけでした。 その日の夜に父親から、そのあたりは福岡藩の牢屋敷と処刑場があったそうです。 あの女の人のくすんだ水色の着物は、罪人が着せられていた牢装束だったのでしょうか。 |