その日は、しんしんと雪が降り続いた晩の話しです。

久し振りに帰省をし友達と遅くまで話しに花が咲き、時間の経つのも忘れていた。

ふと時計を見ると、朝方4時になろうかと言う時間だった。

もう外は、吹雪も止み静かな空間を演出していた。

友達に帰る事を告げ部屋を後にした。



先程まで降っていた雪がかなり積もっている。

まだ除雪作業も始まっていない道を、私は黙々と歩いた。

友達の家から、さほど離れていない所に来た辺りで異変を感じた。

こんな夜も明けないうちから、軒下の雪を片付けている。

一瞬、おかしいとは思ったが、道路の除雪作業もそろそろ始まる時間だし、

その前に少しだけでも雪を片付けてるのかなとも思った。

余談だが、雪国育ちの方はご存知だろうが、一晩でかなりの雪が積もる。
そのままにしていると想像も付かないくらいに、除雪作業は重労働。
その為に、一日に三度四度と作業しなければいけない。




その時、除雪作業をしていたのは一人の初老の男性。

防寒着も着ている様子もない。

その時、私はなんの不思議とも考えず、その男性に声を掛けた。


「おはようございます。朝早くから大変ですね」と一言。

しかし、なんの反応も示さず男性は黙々と作業をしていた。

内心、声を掛けたのに一言くらい言えと呟いていた。

その事をいつしか忘れ、実家に着きそのまま布団に入った。



その日の夕方、食事中に朝方の出来事を家族に話していたら、

「あんた、そこの家って○○さん家の隣かい」と聞かれ、

「あ、そうだけど・・・俺がせっかく挨拶してるのに返事が返って来ない」

「おはようの一言だけでも良いのにな」

「もし、その話しが本当だったら・・・返事はないだろうね」

と、母親が言う。


「だって、あそこのおじいちゃん。秋に自殺してるんだよ」

「それにあそこの家では、もう誰も住んで居ないのよ」

「だけど、部屋には電気も点いてて、雪掻きもしてて・・・」

「それじゃ、隣りの家と間違ったんじゃないの」

「いや、違うな。あそこの家だよ」



夕食も終わり、どうしてもさっきまでの話しが気になり急いで、

朝方みた家に行って見たところ・・・

家の周りは、雪掻きはされておらず、家はと言うと・・・・

誰かが住んでいると言う雰囲気は全然感じられなかった。

それじゃ、俺が見た家・男性は誰?

やっぱり秋に亡くなった男性だったのだろうか・・・・


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