小学5年生の時に、大好きだった祖父が死んだ。

何事にも厳しかった祖父。

小学生の俺にとっては考えられない出来事だった。

その時のお話しを・・・・





その日は、仮通夜が行われ親戚、近所の人達が集まる。

遅い夕食を取り、大人達に混じって朝まで起きていようと思っていた。

しかし、気は張ってはいるが段々と睡魔が襲い床に着く事と成った。

夢、祖父と楽しかった時の夢を見ている。

その表情は、にこにこしていつもの祖父と変わらない。

でも、何故か目を閉じたまま。



「おい、風呂いくぞ」

「やだ、行かない」

「プールもあるから、遊びに行こう」

「やだ、今日は行きたくない」


普段の俺だったら、二つ返事で嬉しがって付いて行ってたのに・・・



「いいから、行くぞ」

「やだ、行きたくない」

この繰り返しを何度かやっているうちに、祖父の表情が一変した。

あきらかに怒っている。

しかし、俺なりに一緒に付いて行かないほうが良いのではと思い始めた。





その時・・・・・・

祖父の手が、俺の腕を掴む。物凄い力で・・・・

ぐいぐい引っ張る。周りの人に助けを呼ぶが、誰も反応してくれない。

俺は泣きながら、必死に抵抗をした。



その後、祖父は諦めたのか・・・・・



「いいよ、じゃ一人でいくよ」

「うん、ごめんなさい。いつか一緒にいくよ、おじいちゃん」

「それじゃ、行ってくるね」

「おじいちゃん、ばいばい」



祖父の表情は、さっきまでとは違い、いつもの優しい顔であった。

でも、俺は必死に謝っている。ごめんなさい・・・ごめんなさい!と何回も・・・





今おもえば、あの時・・・夢での出来事であるけど一緒に付いて行ったら、

今頃、俺は今こうして文章を書いていられただろうか?



その後、縁あって霊能者と言われる人やお寺の住職達と、この夢の話しをする機会が

何度かあり尋ねて見ると・・・・みな一様に、

一緒に付いて行ってたら貴方は居ないでしょ!

おじいちゃんは、貴方を一人にするのが心配だったんでしょう・・・・・

この答えしか返って来なかった。



たかが夢ではあるけど、あの時の祖父の表情、腕を掴む力、引っ張った力。

あの感覚は、20数年経った今でも、はっきりと覚えている。


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